金剛合掌

金剛合掌

金剛合掌とは|意味・方法・効果をわかりやすく解説

金剛合掌は、すべての諸尊(如来・菩薩・天部・明王)身密出現させることができる …≫ 詳細ページ

 

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はじめに

 

金剛合掌は、密教の基本的な手印の一つです。両手の指を交互に組み合わせ、右手の親指が自分に最も近いように結ぶ印相(ムドラー)です。

 

最強のムドラーと称されることがあります。

 

なぜなら、この金剛合掌は、すべての諸尊(如来・菩薩・天部・明王)をこの印相(ムドラー)ひとつだけで身密とすることができるからです。

 

※ 身密とは、三密(身密・口密・意密)の一つです。仏と瑜伽する際、非常に重要となる鍵です。

 

そこで、この記事では金剛合掌について、その意味や方法(結び方)、効果についてわかりやすく解説します。

 

 

金剛合掌とは

 

 

金剛合掌は、特に密教(秘密仏教)で用いる基本的な印相(いんぞう)で、十二合掌印の一つです。

 

印にはたくさんの種類があります。その母体となるものに「印母」(いんも)があります。

 

印母は十二合掌印と六種拳印に大別されます。

 

右手は仏(界)左手は衆生(界)を象徴し、仏と衆生の一体感や、仏の慈悲や智慧、救済や加護を表します。

 

両手をしっかりと組み合わせることで、金剛不壊を意味します。

 

※ 金剛不壊(こんごうふえ)とは、ダイヤモンド(金剛石)のように、とても堅固で決して壊れないことをいいます。不壊金剛(ふえこんごう)ともいいます。

 

印相(いんぞう)

 

ムドラーの訳で〈印契:いんげい〉〈密印:みついん〉ともいい、略して(印:いん)という。また、音写して〈母陀羅:もだら〉ともいう。

 

本来、封印また標幟(ひょうじ)の意味で、広義には仏・菩薩などの諸尊格の働き、誓願・功徳などを象徴するものをさす。

 

密教では行者が本尊に印相を結ぶことによりその尊核との身体的同一を達成する身密行(しんみつぎょう)として重視された。

 

真言とともに用いるときは〈印言:いんごん〉という。印の結び方には〈十八印〉(十二合掌:じゅうにがっしょういん)(六種拳:けん)などがあるが、秘密性を保つために、左右の両手(定慧:じょうえ)、各指(地・水・火・風・空の五大)に特有の名称をあてることもある。→三密。

 

「印相」. 中村元.『仏教辞典苑』第 二 版. 岩波書店,2002,p.58.


金剛合掌の意味

 

金剛とは、ダイヤモンド(金剛石)などを意味する言葉です。昔のインドラでは、怨敵を退散させるための武器です。

 

金剛合掌の意味は、大きく分けて以下の2つです。

 

● 仏と衆生の一体感(瑜伽:ゆが)

 

● 仏の智慧・慈悲(加護・救済)

 

右手は仏(界)を、左手は衆生(界)を表します。両手をしっかりと組み合わせることで、仏と衆生が一体であり、仏の慈悲や智慧、加護や救済、恩恵などを得ることができます。

 

金剛合掌は、仏教の教えを体現する重要な手印です。真言宗をはじめ密教系の宗派で広く用いられています。また、いろいろな法要や葬儀、仏道修行や密教の行法をおこなう際に金剛合掌を結び仏の加持力を得ます。

 

金剛(こんごう)

 

堅固不壊で強力な光を放つものを意味し、雷光あるいはダイヤモンド(金剛石)をさす、バラモン教の主要神であるインドラの武器として有名なヴァジュラは雷光すなわち稲妻をかたどったもの。

 

「金剛」. 中村元.『仏教辞典苑』第 二 版. 岩波書店,2002,p.349.

 

瑜伽(ゆが)

 

サンスクリットのyogaの音写語。原義は、結びつくこと、結びつけることの意。感覚器官が自らに結びつくことによって心が制御される精神集中法や、自己を絶対者に結びつけることによって瞑想的合一をはかる修行をさし、現今の心身の健康増進法としての(ヨガ)もこれに由来する。

 

密教では手に印契(いんげい)を結び(身密)、口に真言をとなえ(口密)、意に本尊を観ずること(意密)により、仏の三密と感応道交することを(三密瑜伽)という。

 

「瑜伽」. 中村元.『仏教辞典苑』第 二 版. 岩波書店,2002,p.1024.

 

金剛合掌の具体的な方法

金剛合掌の具体的な結び方は、以下のとおりです。

 

金剛合掌は、両手の指を互い違いに組み合わせ、右手の親指が最も自分に近いように結びます。

 

具体的な方法(組み方/結び方)は、以下のとおりです。

 

 

 


1.胸の前で両手を合わせます。

 

2.掌(たなごころ)に隙間がないようにします。

 

3.右は仏(界)、左は衆生(界)であると観想します。

 

 

 


1.次に、五指を広げます。

 

2.右手の指と左手の指を重ね合わせます。

 

3.すべて右が上になるよう組み合わせます。

 

 

 


1.胸の前で結びます。

 

※ 参考:アナーハタ・チャクラを意識

 

2.右手が仏の世界と観想します。

 

3.左手が衆生私たちの世界と観想します。

 

※ 衆生:生きとし生けるものすべて

金剛合掌の効果

金剛合掌は、右手は仏(界)を、左手は衆(界)生を表します。両手をしっかりと組み合わせることで、仏と衆生が一体となり、互いに調和し瑜伽し、仏の加護や救済、恩恵を得ます。

 

金剛合掌をしっかりと結ぶことで、仏の智慧と慈悲によって守護されます。

 

自分と周囲の人々との結びつきも強くなり、より良い関係が築けます。

 

また、仏の加護を受け、不安や迷いを払い、困難や苦難を乗り越え、豊かな人生になります。

 

金剛合掌は、大宇宙と私たちの内に眠る(潜在能力=可能性)を引き出す効果も期待できます。

※ 「梵我一如」

 

金剛合掌は、煩悩を断ち切り、悟りを開くための修行や行法として広く用いられます。正しく結ぶことで、心が清らかになり、仏性が開花します。

 

金剛合掌には、心身を浄化し、自己の成長を促し、人生を開花させ、発展させる力が秘められています。

五大(ごだい)

金剛合掌を結ぶ際に、五大を意識することでさらに効果を実感できるようになります。

 

五指とは、まさしく五本の指のことです。それぞれの指には、森羅万象の五大(地・水・火・風・空)が秘められています。

 

五大(地・水・火・風・空)とは、仏教における森羅万象を構成する五つの要素のことです。

 

● 地:個体や固形物、堅固さや安定など表します。

 

● 水:液体、流動性や変化を表します。

 

● 火:熱エネルギー、変容や成長を表します。

 

● 風:気体、動きや変化を表します。

 

● 空:虚空や空間、無限性や可能性を表します。

 

五大は、宇宙のあらゆる事象の根源であり、すべてのものが五大から成り立っているとされています。

 

また、五大は人間の身体や心(精神)にも対応しており、五大を調和させることで、健康や富、繁栄や幸福などが得られます。


金剛合掌に関するよくある質問

金剛合掌に関するよくある質問です。

 

お役立ていただければ幸いです。

どのような時に、金剛合掌を結びますか。

個人的な意見ですが、高野山の壇上伽藍や奥之院をはじめ、寺社仏閣、また、四国霊場や不動明王霊場、愛染明王霊場、観音霊場などに赴いた時に金剛合掌を結び、すべての仏様の真言を唱えます。

今までで、金剛合掌の効果を一番感じた瞬間を教えてください。

 

これまでで一番効果を感じた瞬間は、2014年の夏の歩き遍路の時です。

 

連日の豪雨や強風、台風などにも遭遇しましたが、全行程約1200㎞を最後まで歩き通すことができました。

 

【参考】『一難去って…』(外部リンク:アメブロ)

 

前述したように「金剛」はダイヤモンド。金剛不壊(こんごうふえ)のことです。

 

それは、どんな困難や苦難にも立ち向かい、打ち砕かれない強固な私たちの「菩提心」を表します。

 

真言を唱え、神仏加持を念じ、そして、金剛合掌をしっかりと最後まで結び続けたからだと強く確信しています。

 

なお、金剛合掌は、すべての印相の総印ともされています。

 

つまり、あらゆる如来・菩薩・天部・明王を象徴する印母(いんも)です。

 

したがって、金剛合掌を結び、真言を唱えれば、より諸神仏の加持(加護)を授かることができます。

 

まとめ

金剛合掌は、仏教や密教の教えの真髄を会得できる重要な印相です。

 

高野山や四国霊場をはじめ、全国各地の寺社仏閣や各霊場などで、また、お仏壇やお墓などでご先祖様・故人を偲び金剛合掌を結びます。

 

慌ただしい現代社会に生きる私たちにとって、日常の煩わしさを離れ、心身の安らぎを得るための最良の方法ともいえます。

 

日常生活の中で、金剛合掌を結び仏の智慧と慈悲、そして、加護をお授かりいただければ幸いです。

 

そして、どんな苦難や困難も乗り越える強さが、私たち一人ひとりの中に秘められている、そのことをぜひ思い出してみてください。

 

合掌

 

● 魔(三障四魔)を退散させる。

 

● 心身の汚れや邪気を払う。

 

※ 三毒(貪瞋痴)の煩悩を打ち砕く。

 

● 結界を張って身を守る。

 

出典

 

藤巻一保『密教の印のすべて』PHP研究所

 

熊田由美子『仏像の辞典』成美堂出版

 

『印図・手印図(真言密教自相類聚・解説部11)』青山社

 

『真言密教印相 写真・解説』布施浄慧監修,名著普及会

 

『図印大鑑』国書刊行会

 

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